私は、元々看護師として働いていて、そこからスタートアップ企業を経て大手企業に転職しています。
なぜ看護師を辞めたかというと、病気の治療や悪化予防ということよりも前の段階である予防にかかわる仕事をしたり、看護師業界の職場環境の改善につながる仕事をしたりしてみたいと思ったからです。
そこで今回は、「看護師を辞めて会社員になりたい」、「一般企業に転職するにはどうしたらいいの?」とお悩みの看護師の方に向けて一般企業へ転職するメリットデメリットや、キャリアチェンジをする場合の候補をご紹介します。
看護師から一般企業への転職のメリットとデメリット
看護師から一般企業への転職をすることを、「挑戦したいけど怖い・・自分にできるのかな?」「失敗したらどうなるのかな」と思っている方も多いと思います。
転職してみて感じたいくつかのメリットとデメリットを挙げます。
メリット①新たなキャリアが拓ける
一般企業に転職し、看護師以外の仕事をすることで全く新しいキャリアを歩むことができます。
看護師の一般的なキャリアは、専門性や経験を積み重ね、スペシャリストやジェネラリストになること、あるいは看護師長や看護部長など、管理職になることの2つが主な道になると思います。
私は看護師になるまで、医療機関などで看護師として看護業務を行うことしか考えていませんでしたが、転職をしてみて、「看護師の資格が看護師の仕事以外でこんなに役に立つんだ」と思うことができました。ヘルスケアや医療といった、看護師の資格や知識が役立つ領域に限られますが、自分の努力次第ではセールスやマーケティング、カスタマーサクセスといった職として活躍するキャリアの可能性があるでしょう。
メリット②キャリアの多様性が広がる
一般企業で働くことで、異なる業務や役割に挑戦することができます。これにより、キャリアの幅を広げることができます。
私は看護師から始めて一般企業に転職した際に、「カスタマーサクセス職」として一般職のキャリアをスタートさせました。その後4年間カスタマーサクセスやカスタマーサポートの業務を行う中でありとあらゆる業務を経験したことで、次の会社ではマーケティング職として転職することができました。
一般企業では、営業と呼ばれるようなセールス職や広報などのマーケティング職など、職種に対してこれといった資格の有無は重要とされず、これまでの経験やスキルをもとに有能な人材かどうかを見極められます。そのため、仕事の中で様々な業務経験や知識の習得をしていくことで、一つの職種に限らず様々な職種にチャレンジすることもできるでしょう。
メリット③将来的に年収の上がり幅が大きくなる
首都圏の一般企業では、看護師と比較して給与水準が高い場合が多いです。転職する企業の年収はそれぞれなので必ずしも上がるとは言えませんが、夜勤をせずに看護師の時と同等もしくはそれ以上の給料となるでしょう。
ただし私は一社目は小さな会社に入社したことと、一般職未経験からのスタートであったことから、一時的に給料のベースは下がりました。それでも、初めて会社員として働いた時のお給料が入金されたときは、「たくさん寝ることができてこんなにお給料がもらえるなんて・・!」と大きな感動が押し寄せました。
デメリット①看護師の技術はどんどん錆びていく
看護師から一般企業への転職は、医療現場から離れることを意味します。当たり前ですが、臨床で培った技術はどんどん錆びていっていることを感じました。
「患者さんと接することが何よりも好きだけど仕事が辛い」、「看護師として目の前の患者さんを助けたいけどストレスが多い」と思う方は、一般職へ転職する道ではなく、働く環境が整った病院への転職をお勧めしたいです。
デメリット②仕事で求められる働き方にギャップを感じる
一般企業での業務は、医療業界とは異なるスキルや知識を必要とする場合があります。新たなスキルを習得する必要があるかもしれません。
私は看護師から一般職に転職してから、顧客へのメール作成やExcel等のOfficeソフトを使った資料作成などをはじめ、数多くのツールやソフトを駆使して業務の効率化をしてきました。このように、看護師の時には使ったことがなかったツールやソフトを使いこなして自分の成果を出していく、という仕事のスタンスに慣れていくことが必要でした。このほか、日々どのような仕事をすべきかを自分で計画を立て、それを実行し、成果がどのように出たのかを日々自立して考え行動する必要があります。
看護師の時は、患者さんの状態に合わせて看護の計画を立てる、という患者さんありきで自分の仕事が決まっていくというスタイルでした。
このような、「その日の業務は仕事場に行ってみないとわからない(その場勝負的な考え)」という状況から仕事のスタイルは一変し、1ヶ月〜半年など、ある一定の期間で計画を立てて計画通りに物事が進むよう、周囲の人間を巻き込んで仕事を進めるというスタイルになりました。
最初はこのような仕事の進め方がうまくできず、仕事が溜まっていき家に帰っても仕事を持ち帰って残業をしたり、寝ている間に仕事のことを思い出して起きてしまったりするなど、仕事のオンとオフの境目がわからなくなり悩んだ時期もありました。
私の経験上のお話に限られてしまいますが、上記のようなメリットデメリットを参考に、一般企業への転職を検討する際には、自身の目標や適性をよく考えることが重要だと思います。
看護師のスキルを活かすための一般企業への転職方法
看護師のスキルを活かして一般企業から採用をもらうためには、以下のような行動をしておくとよいでしょう。
スキルマッチングをしてみる
看護師の経験やスキルを、一般企業の求人要件とマッチングさせることが重要です。自己分析や転職サイトの活用などを通じて、自身のスキルと企業のニーズを合わせることを目指しましょう。私は「Wantedly」という転職アプリに登録して、医療系の企業がどのような人材を求めているのか調べることを日課にしていました。
ビジネススキルを習得する
看護師の資格に加えて、一般企業で求められるスキルを取得することも考慮しましょう。転職を希望している職種が決まっている方は、その職種に関する本を読み漁るのはいかがでしょうか。
最近では、「Udemy」といってオンラインでさまざまな専門知識やスキルを学べる講座を出している場所もあるので、気軽に様々な分野のことを学ぶことができます。
一般企業との接点を増やす
看護師の友人や大学の友人経由など、他の業界で働く知人とのネットワークを構築して、一般企業への転職情報やアドバイスを得ることもいいでしょう。
また、業界イベントやセミナーへの参加も、新たなつながりを作るために有効です。
これらの方法を組み合わせながら、看護師のスキルを最大限に活かした一般企業への転職を目指しましょう。
看護師から一般企業への転職するために準備すべきこと
看護師から一般企業への転職を成功させるためには、以下のポイントに留意することが重要です。
転職して叶えたい目標を明確にする
転職の目的や理由を明確にしましょう。自身のキャリア目標や転職後の働き方について考え、それに向けた具体的なステップを計画しましょう。
自己分析を行う
自身のスキル、経験、興味、特技などを客観的に評価しましょう。それに基づいて、どのような職種や業界に転職したいのかを考えましょう。
転職先のリサーチ
転職先の企業や業界の特徴や要件を調査しましょう。求人情報や企業のウェブサイト、社内の人事担当者との面談などを通じて、転職先の文化や仕事の雰囲気を把握しましょう。
スキルのブリッジング
看護師のスキルを一般企業で活かすためには、スキルのブリッジングが必要です。看護業務で培ったリーダーシップ、コミュニケーション、問題解決能力などを強調しましょう。
履歴書を用意しいつでも面接できるようする
看護師から一般企業への転職では、履歴書や面接が重要な役割を果たします。自身のスキルや経験を適切にアピールするために、履歴書の書き方や面接のポイントを学びましょう。
これらのポイントを踏まえながら、看護師から一般企業への転職を成功させるための準備を進めましょう。
看護師から一般企業へ転職後の働き方とキャリアパスの選択肢
看護師から一般企業への転職後は、様々な働き方やキャリアの選択肢があります。以下にいくつかの例を挙げます。
医療やヘルスケア関連企業への転職
看護師としての経験を活かしながら、医療機器メーカーや医薬品会社などの医療関連企業で働くことができます。ここでは、医療の現場に携わることなく、医療に関する知識や経験を生かして業務に従事することができます。
医療の教育機関への転職
看護師としての経験を生かして、看護学校や医療系の大学で教育者として働くことも選択肢の一つです。ここでは、若い看護師の育成や、医療に関する知識やスキルの伝承に貢献することができます。
ヘルスケアコンサルタントへの転職
看護師としての知識や経験を活かして、ヘルスケアコンサルタントとして独立することも考えられます。個人や企業に対して健康管理や予防プログラムのアドバイスを提供し、人々の健康をサポートすることができます。
介護施設や保険会社での勤務
看護師としての経験を生かして、介護施設や保険会社で働くことも選択肢の一つです。ここでは、高齢者や障害者のケアや、保険サービスの提供に関わることができます
これらは一部の例であり、看護師から一般企業への転職後には他にも多くの選択肢があります。自身の興味や目標に合わせて、新たなキャリアパスを模索しましょう。
最後に
看護師から一般企業への転職について、メリットやデメリット、スキル活用方法、成功のためのポイント、転職後の働き方とキャリアパスの選択肢についてご紹介しました。
看護師から一般企業への転職は新たなキャリアチャレンジであり、自身のスキルや経験を広げる機会です。しかし、医療の専門職から離れることや、これまでと異なるスキルの習得が必要となることもあります。
看護師のスキルを活かすためには、スキルマッチングや追加の資格取得、ネットワーキングの活用が重要です。また、転職の準備では目標の明確化や自己分析、転職先のリサーチ、スキルのブリッジング、履歴書と面接の準備が必要です。
一度一般企業に転職した後は、医療関連企業での勤務や医療教育機関での勤務、ヘルスケアコンサルタントとしての活動、介護施設や保険会社での勤務など、様々な働き方やキャリアパスの選択肢があります。
最後に、看護師から一般企業への転職を検討する際には、あなたの気持ちを一番大切に動いてください。病院で働いている方は、年度末以外に退職をしたいと希望を出すことは拒まれたり、「もう少しだけ働いてくれないが」と懇願されたりするかもしれません。しかし、会社からのオファーは待ってくれません。退職することはあなたの権利です。強い心をもって、あなたの将来のために動き始めてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。